家計簿を1つずつ直して、月12,000円が残るようになったゆい(前回のお話はこちら)。そんなある日、郵便受けに「賃貸契約 更新のお知らせ」が届きました。引っ越すか、住み続けるか——今回は、人生で何度もやってくる「住まいとお金」の考え方を、FPたくやと一緒に整理していく物語です。
更新のお知らせが届いた日
ゆい
たくやさん、アパートの更新のお知らせが来ました。更新料って家賃1ヶ月分くらいかかるんですね…。どうせ払うなら、いっそ引っ越したほうがいいのかなって。
たくや
いいタイミングだね。先に言っておくと、今日も「引っ越すべき」「住み続けるべき」っていう結論は言わないよ。判断の材料をそろえて、決めるのはゆい自身。まずは、引っ越しにいくらかかるのかから見ていこう。
ゆい
家計簿を続けてきたおかげで、毎月の数字には強くなりました。でも引っ越しの費用って、正直まったく想像がつきません。
引っ越しの初期費用は「家賃の4〜5ヶ月分」が目安
たくや
賃貸の引っ越しでは、入居時にまとまった「初期費用」がかかる。相場の目安は家賃の4〜5ヶ月分+引っ越し業者代。ゆいの今の家賃83,000円と同じくらいの部屋なら、こんなイメージだよ。
| 項目 | 目安 | ひとこと解説 |
|---|---|---|
| 敷金 | 家賃1ヶ月分 | 退去時の修繕などに充てる預け金。残れば戻る |
| 礼金 | 家賃1ヶ月分 | 大家さんへのお礼。戻ってこないお金 |
| 仲介手数料 | 最大で家賃1ヶ月分+税 | 不動産会社に払う手数料。半額・無料の物件もある |
| 前家賃・日割り家賃 | 家賃約1ヶ月分 | 入居月の家賃を先に払う |
| 火災保険料 | 1.5万〜2万円程度 | 2年分をまとめて払うことが多い |
| 保証会社利用料 | 家賃の50%〜100%程度 | 連帯保証人の代わり。物件により必須 |
| 鍵交換費用 | 1.5万〜2万円程度 | 前の入居者の鍵を交換する費用 |
| 引っ越し業者代(単身) | 3万〜8万円程度 | 時期と距離で大きく変わる |
| 合計の目安 | 約35万〜45万円 | 家賃8万円台なら、これくらいを想定 |
ゆい
よ、40万円…!? 家賃が月5,000円下がったとしても、簡単に取り返せる金額じゃないですね…。
たくや
いい気づきだね。仮に家賃を月8,000円下げられても、初期費用が40万円かかったら、取り返すのに4年以上かかる計算になる。だから引っ越しの損得は「何年住むか」とセットで考えるのが基本。そして、この初期費用は工夫しだいでかなり抑えられるんだ。
初期費用を抑える4つのコツ
たくや
覚えてほしいコツは4つ。どれも「知っているかどうか」だけで差がつくものだよ。
- 仲介手数料を確認する——法律で決められた上限は「家賃1ヶ月分+税」。半額や無料としている物件・不動産会社もあるので、必ず金額を確認する
- フリーレント物件を探す——「フリーレント」とは、入居後の家賃が一定期間(例:1ヶ月)無料になる契約のこと。前家賃の負担が実質軽くなる。ただし短期で解約すると違約金がかかる条件が多いので、契約書の確認は必須
- 繁忙期(1〜3月)を避ける——進学・就職シーズンは家賃も引っ越し代も高止まりしがち。時期を選べるなら、閑散期のほうが家賃交渉も引っ越し代の交渉も通りやすい傾向がある
- 引っ越し業者は2〜3社で相見積もり——同じ荷物・同じ日程でも、業者によって数万円変わることがある。1社の言い値で即決しない
💰 コツを組み合わせると、初期費用が10万円以上変わることも(あくまで目安です)
ゆい
「敷金・礼金ゼロ」って広告もよく見ますけど、あれはどうなんですか?
たくや
初期費用は確かに軽くなる。ただ、その分「退去時のクリーニング代が高め」など、別の条件で調整されていることもある。入口が安い物件ほど、出口(退去時)の条件まで読む——これを習慣にしておけば大丈夫だよ。
「家賃は手取りの3分の1」をゆいの数字で計算してみる
ゆい
そもそも、私の家賃83,000円って高いんでしょうか?「家賃は手取りの3分の1まで」ってよく聞きますけど。
たくや
ゆいの手取りは22万円だから、3分の1だと約73,000円。今の83,000円は、目安より約1万円オーバーということになるね。ただし、これはあくまで目安。駅からの距離や通勤時間、安全性で家賃は変わるし、通勤が短くなって時間が生まれるなら、その価値も家賃のうちだよ。
| ゆいの数字 | 金額 |
|---|---|
| 手取り月収 | 220,000円 |
| 目安(手取りの3分の1) | 約73,000円 |
| いまの家賃 | 83,000円(目安+約10,000円) |
| 仮に家賃75,000円の部屋に住み替えたら | 毎月−8,000円(年間−96,000円) |
ゆい
年間で約10万円…! 家賃って、固定費の中でもケタが違うんですね。
たくや
そう。前回直したスマホ代やサブスクより、1つの見直しで動く金額が大きい。だからこそ引っ越しは「固定費見直しの最大のチャンス」と言われるんだ。しかもチャンスは家賃だけじゃないよ。
引っ越しは固定費見直しの最大のチャンス
たくや
引っ越しのときは、ネット回線・電気・ガスをどのみち手続きする。つまり「解約の手間」がゼロになる、乗り換えの絶好のタイミングなんだ。逆に言うと、この3つは引っ越さなくても今日から見直せる。
- 家賃そのもの——固定費の最大項目。住み替えでしか動かせない
- ネット回線——スマホとのセット割や、契約期間の縛りを確認。乗り換えで月1,000〜2,000円程度変わることも
- 電気・ガス——切り替えは原則、工事不要・手続きだけ。料金プランの比較で月数百円〜変わる場合がある
ゆい
ネット回線と電気は、引っ越さなくても見直せるんですね。それなら今週末、さっそく比べてみます。
👉 固定費見直しの全体像はこちら:家計管理完全ガイド【2026年版・手取り20万円台から始める資産形成ロードマップ】
ゆいの結論——損得だけじゃなく「暮らしの満足度」で決める
たくや
材料は出そろったね。①初期費用の目安は35万〜45万円、コツを使えば圧縮できる。②家賃は目安より約1万円高い。③更新料は家賃1ヶ月分程度が目安(地域や契約によっては無いこともある)。さて、ゆいはどうしたい?損得だけじゃなく、いまの暮らしの満足度も含めて考えていいんだよ。
ゆい
…正直、今の部屋は駅から近くて気に入っています。それに、積み立てはNISAで始めたばかりで、初期費用にできる現金がまだ育っていません。今回は更新して、2年後の更新までに「引っ越し資金」を現金で貯めて、そのとき堂々と選べる自分になろうと思います。
たくや
すごくいい判断の仕方だと思う。1つ補足すると、2年後みたいに使う時期が決まっている近いお金は、NISAではなく現金で貯めるのが基本。投資には値動きというリスク(不確実性)があるから、短期のお金には向かないんだ。長期のお金はNISA、近い予定のお金は現金——置き場所を分けよう。
ゆい
じゃあ、先取りの仕組みに「引っ越し資金の積立」を追加します。引っ越さないって決めたのに、なんだか前より住まいのお金に強くなれた気がします!
👉 先取り×自動積立の仕組み化はこちら:先取り貯蓄×NISA自動積立で「貯まらない」を卒業する方法
まとめ:更新通知は「住まいとお金」を考える定期健診
- 引っ越しの初期費用の目安は「家賃の4〜5ヶ月分+引っ越し業者代」
- 仲介手数料の確認・フリーレント・繁忙期回避・相見積もりで初期費用は抑えられる
- 「家賃は手取りの3分の1」はあくまで目安。通勤時間や満足度も家賃の価値のうち
- 引っ越しは固定費見直しの最大のチャンス。ネット回線・電気ガスは引っ越さなくても見直せる
- 引っ越すかどうかは損得+暮らしの満足度で決める。近い将来使うお金は現金で準備
更新のお知らせは、2年に1度やってくる「住まいとお金の定期健診」。ゆいのように、数字と気持ちの両方で考えれば、どちらを選んでも前向きな答えになります。第1話をまだ読んでいない方はこちらからどうぞ:【ゆいの家計簿①】手取り22万円の家計を「1つずつ」直したら、月いくら残るようになる?
ゆいの物語は続きます。次のお金の出来事が、ゆいをまた少し成長させてくれるはず。どうぞお楽しみに。